偏差値帯別に見る、私立中高一貫校改革のポイント【第1回:偏差値30台編】
こんにちは!コアネット教育総合研究所の奥田です。
今回から始まるシリーズ記事は、学校改革のポイントを
「偏差値帯別(※)」に論じてみよう!というのが趣旨です。
「偏差値30台の学校と、50台の学校では、
改革のポイントも違う」と感じる方は多いでしょう。
しかし、なぜかこれまでこの点にフォーカスした論考は
ありませんでした。(私の知る限り、ですが)
なければ自分で書いてしまえ!というわけで、本シリーズの
執筆に至りました。完全に勢い任せですみません(^^;
何はともあれ、シリーズ第1回(一応、全4回を予定)となる今回は、
偏差値30台の学校について。
まず「知っている人は知っている」けれど
「知らない人には衝撃の」事実から申し上げましょう。
衝撃の事実!?東京都の私立中学の約半数が「偏差値30台」
東京都の私立中学の約半数は、偏差値30台。
これは各校を、初回入試(帰国生入試を除く)の
合格80%予想偏差値で分類した場合の割合です。
一方、偏差値30台のお子さんは、中学受験生全体の
10~20%程度を占めると言われています。
つまり、単純化して言ってしまえば、
「マーケット全体の10~20%を、約半数のプレイヤーが奪い合う」
状況だということ。
これは、競争過多の典型的なレッドオーシャンです。
もちろん、こういった状況は地域によっても変わってきます。
例えば神奈川では、偏差値30台の中学は約3割です。
また、そもそも偏差値30台のお子さんが必ずしも同偏差値帯の
学校を受けるとは限りません。逆もまた然りです。
ただ、敢えて大きく捉えるとするならば、
「偏差値30台の私立中学は、生徒募集上、
極めて厳しい状況にある」と言えます。
実際に、ご相談を受けたり見聞きしたりしていても、
生徒募集に苦しむ偏差値30台の学校は、非常に多い。
そこで以降は、偏差値30台の学校が、生徒募集上の課題を
クリアするにはどのような改革を成すべきか?という視点で
論じていきます。
偏差値30台の学校は「三兎を追う」べし
結論から言うと、偏差値30台の学校からそのポジションから
浮上するには、下記3点を(再)構築する必要があります。
1.魅力的な教育ビジョン
2.効果的な学力向上の仕組み
3.時代のニーズを捉えた特色教育
偏差値30台の学校は、多くの受験生・保護者から
「ターゲット外」と認識されてしまいがちですから、
相当な変化がなければ、知ってもらうことすら出来ません。
そこで、入試や広報の改革(これらも重要ですが)だけでなく
上記のような「学校の根幹」に踏み込んだ改革が必要となるのです。
では、1~3それぞれを具体的に論じていきましょう
・・・といったところで、今回も少々長くなってきてしまいました。
前回記事で「Webは文字過多NG」と言っておきながら、
自分の記事が長いのですから、これはもうお恥ずかしい限り。。
そんなわけで、上記3点の具体的な説明は次回に回しますが、
少々予告だけさせてください!
予告:次回は三田国際学園の改革事例を取り上げます!
以降の記事では、実際の学校の事例を交えながら、
偏差値帯別の学校改革ポイントを、紹介していきます。
偏差値30台の学校の改革事例として取り上げるのは
「三田国際学園中学校・高等学校」さん。
用賀にある戸板中学校・戸板女子高等学校さんが、2015年より
校名変更・共学化して、「三田国際」さんになる予定です。
校名変更・共学化だけでも大きな変化ですが、
カリキュラムや授業スタイルなど、多岐にわたる改革を
同時並行で進めることを宣言されています。
まさに「改革中」の同校において、募集上の成果を
確認するには来春の入試を待たねばなりませんが、
模試動向などを見ても、受験生・保護者の注目度が
急速に高まってきているのは明らか。
そこで、少々フライング気味ではありますが、同校を
改革の「成功事例」として取り上げさせていただきます。
おそらく史上最速(?)の三田国際学園ケーススタディ。
ご期待いただければ幸いです。
それではまた!
※本稿で取り扱っている「偏差値」についての補足です。
<補足1>
今回取り扱う「偏差値」は、中学受験のもの。
それも中上位層が受験すると言われている「日能研模試」の
合格80%予想偏差値、だとイメージしておいてください。
<補足2>
一般に、中学受験の偏差値は、同じ学校であれば、
高校受験に比べ15~25ほど低く付く、と言われています。
したがって中学受験で「30台」の学校でも、高校受験では
「50台」あるいは「60台」ということも、よくあります。
<補足3>
入試回によって偏差値が異なる学校の関係者の方は、
最も低い回についての記述をご参考ください。