学校コンサルタント奥田雄一郎がこっそり教える「選ばれる学校」になるためのヒント

コアネット教育総合研究所プロジェクトリーダー奥田のブログです。テーマは主に、教育や学校経営、Web、ICTなど。

ICTは教職員の研修も変える(のか?)という話

こんにちは!コアネット教育総合研究所奥田です。

12月6日、インテルと日本マイクロソフト、ピアソン・ジャパンの3社が、
教員研修のコンテンツの充実や利便性の向上を目的とした連携の枠組み
「21世紀型スキル育成支援連携」の協働運営に合意したと発表しました。


21 世紀型スキル育成を支援する 21CS support alliance (21 世紀型スキル育成支援連携) | 教育 ICT - 教育機関の皆様へ

例えばインテルは既に、教員向けのオンライン講座などを無料で
公開しているのですが、こういったコンテンツやそれらの実践事例を
集約したプラットフォームは、ありませんでした。

それを作ることで
「21世紀型スキルの重要性と、それを育成するための方法論を広めよう!」
「そして(いずれは)3社の関連商品をたくさん買ってもらおう!!」
というのが今回の連携趣旨だとお見受けします。(注:個人的見解です)


さてさて、このニュースを聞いて、私の頭の中に浮かんだのが
「いよいよ、教職員研修の世界にもオンライン学習の波が来るな」
ということでした。

もちろん、放送大学では早くから教育関係のオンライン講座
充実させていますし、最近では、東大が「双方向型授業」に関する
オンライン講座
を配信した(している)のも記憶に新しいところ。

したがって、既にポツポツと「オンライン×教員研修」の波は
来ていたわけですが、上述したプラットフォームが作られることで、
その動きはますます加速していくように思います。


では、「オンライン×教員研修」の動きが加速することで、
何が起こるのか。学校として、どんな対応をすべきなのか。

そのあたりのことを考えるにあたり、下の図をつくってみました。
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横軸に「オンライン/オフライン」、縦軸に「オープン/クローズド」
をとり、主な研修形態をプロットしています。


この図に沿って見ていくと、従来は右側の2象限だけで
行われていた教職員研修は、今や左上「オンライン×オープン」
の領域に拡大しつつ
あると言えます。

また、これは私の予測ですが、現状はあまり実践事例のない
左下「オンライン×クローズド」の領域も、近い将来開拓されてい
だろうと考えています。

そこで以下では、左上と左下それぞれの象限について、
もう少し詳しく考察してみます。



まず左上の象限ですが、この領域における研修ラインナップが
急速に充実してきているのは先述したとおりです。

今は「意識の高い一部の教職員」が、個人として各種講座を
活用している場合が多いものの、今後は、学校全体として
どう取り組むかを考えるべき段階
に移行するでしょう。


具体的には、自校の教員育成方針・計画(そもそもこれらが
曖昧な場合は、まず策定する必要がありますが)に基づき、

・何を目的にして
・どの教員に
・どのオンライン講座を
・どんなタイミングで受講させ
・どのように効果測定をするのか

といったことを計画し、組織的に実行していくことが
必要になってきます。


また、例えば「オンライン講座でインプットしたテーマに
ついて、校内研修で議論する」といった反転授業形式の研修も、
ぜひ検討していただきたいと思います。

校内研修は、忙しい教職員の方々の時間を割いて行うものですから、
その貴重な時間のほとんどを一方的な講演(インプット)だけに
充てるのは、あまりにもったいない!


これと同じことは、対面での外部研修にも言えます。

実は、私が所属するコアネットでも、今年から反転授業形式の
講座
を一部でスタートしています。

どの外部研修を受けるか(受けさせるか)を検討する際、
それが反転授業形式かどうかが、選択理由のひとつになる日も
近いのではないでしょうか。



一方、左下の象限も、未開拓ながら今後の発展が期待される領域です。

例えば、教員間の相互授業見学の一部を、オンライン化
してみてはどうでしょうか?

先生方の授業を撮影し、それを校内LANにアップ。
互いに見合って感想をコメントし合う、というやり方です。

通常の相互授業見学だと、授業時間が重なっている教員同士は
お互いの授業を見学できません(もしくは時間調整が必要)が、
この方法であれば、その問題は解消できるのではないでしょうか。


以上、教員研修の現状と今後について考察してみました。

オンラインの教職員研修は、時間と場所の制約なく受講できるため
忙しい教職員の方にも比較的受けさせやすいというメリットがあり、
今後ますます普及していくでしょう。

他方、対面講座にも、時間と場所の制約があるからこそ
集中して取り組める、双方向性が高い、といったメリットがあります。

オンラインとオフライン、それぞれの特性を活かした柔軟な
研修設計により、教員育成の効果を最大化していくことが重要です。


私も新たな時代の教職員研修のあり方を、引き続き考え続けます。

ディスカッション・パートナーは随時募集中ですので、
ご興味ある方は、お気軽にお声がけください(^^)


それではまた!